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 湘南学園が、100以上もの規則や決まりで子どもたちを管理していたそれまでの生活を見直し、「強い立場の者が弱い立場の者を侵さない」という『たった一条の湘南憲法』のもとでの生活を始めた頃のことです。

 それまでは、学園内で生き物を飼うことは規則で禁じられていましたが、すべての規則を廃止したことにより、何人もの子どもたちが、学園の隣にある竹やぶに隠していた犬を連れてきたり、もらってきたり、拾ってきたりして、思い思いに犬を飼い始めました。

 こうなることは、ある程度は予測していましたが、気がつけば飼い犬の数が27匹にもなり、餌代がかさむばかりではなく、衛生面を気づかう職員たちからの規制を求める声や夜間の遠吠えに対する近所からの苦情なども頻繁に寄せられるようになり、学園として、何らかの対応を迫られていました。

 当初は、生き物を飼育することで、本来、子どもたちがもっているやさしさや思いやりの心を引き出すことができるのではないかと考えて奨励していましたが、この事態にはそうも言っていられません。

 まず、子どもたちと話し合うべく招集をかけたところ、11人の飼い主たちが集まりました。以後、幾度となく子どもと大人の間で押し問答が続きましたが結論にはいたらず、「学園内で飼う犬は、各家1匹の4匹が妥当」と主張する大人と「最低でも1人1匹を飼うことを認めてほしい」という子どもの間で、園長をはじめ第三者を含む7人の裁定委員に判断を委ねる『小犬の裁判』を開廷することになりました。

 (このつづきはJuntos42号で)

のちに、このエピソードを児童文学作家の今関信子さんが題材として取り上げられ、童心社より「小犬の裁判はじめます」という本として出版されて、第34回課題図書に選ばれました。