少子高齢化や人口減少など、社会経済状況の急激な変化に伴う経済的貧困層の拡大に加え、社会や地域の関係性から取り残される、いわゆる社会的孤立も大きな課題となっている。これらは、引きこもりやニートなどの若者や支援の必要な高齢者の課題にとどまるものではなく、近年は4、50歳代などの中高年層にも広がっている。その現れは、都市部に限らず、地縁血縁関係が強いと考えられてきた農村部でも例外ではない。
社会的孤立は、団地や住宅街、中心市街地や過疎地、歴史のある街と新興住宅街、多様な地域で見られ、それを防ぐ試みも地域ごとに多様である。団地であれば団地の自治体、過疎地であれば社会福祉協議会、歴史のある街であれば町会等が主だが、そのほか、校区コミュニティ、まちづくり協議会、地域包括支援センター、NPO、民生委員など、さまざまな組織が考えられる。こうした主体が社会的孤立を防ぐために、場づくりやシステムづくりに取り組む過程のなかで、さまざまな社会資源を生み出しており、それらの一連の活動の整理・分析と普及に向けたモデル化が急がれている。
本事業では、社会的孤立とその解決に対するアプローチを以下の3つに整理する。
@社会的孤立の状態に陥らないための支援と住民自治・地域再生
A孤立状態からの回復に向けた支援と社会資源開発
B孤立化するコミュニティにおける支援と相互扶助システム
@、Aは個人への支援を主眼に置くのに対し、Bは中山間地域における集落など、特定の生活圏域、またはコミュニティ単位の孤立化に対するアプローチである。
実態を把握するに際しては、事例検討会の開催などを通じて、社会的孤立の現状と、その解決に向けて、支援組織がそれぞれの地域の特色に合わせ、自治体との協力関係を含め、どのように実施されているかを整理する。このとき、「居場所や集い場が支援の中核にある」との仮説を設定し、その分析も行う。
その際、地域の社会的孤立をどの程度把握できているか、どの程度アプローチできているかが、組織の評価基準となる。効果的に支援ができていると評価される事例については、冊子にまとめ、普及啓発する。
1.研究委員会の設置
委員会は、全体会と以下の3つの部会により構成する。
(1)部会1:社会的孤立の状態に陥らないための支援と住民自治・地域再生に関する研究部会
(2)部会2:孤立状態からの回復に向けた支援と社会資源開発に関する研究部会
(3)部会3:孤立化するコミュニティにおける支援と相互扶助システムに関する研究部会 |