昨年3月に発生した東日本大震災より1年が経過し、被災地は急性期の緊急支援から、仮設住宅期から復興期に向けての息の長い支援体制へと移行しつつある。この長期化が必至と考えられている仮設住宅期において、生活支援、要援護者への支援の中核のひとつは、各地に配置されたサポートセンター(サポート拠点)等である。サポートセンターは、被災地の現状に合わせてフレキシブルに事業を設定できることで、各県、各市町村ごとに、形態、事業活動内容、配置人員、支援対象もさまざまであり、実際にどのように機能しているのか、検証はこれからの段階である。また、仮設住宅に設置された「集会所・談話室」を、自治会が主体となってサポートセンター的に運用しているところも散見されるが、その具体的な活動実態は知られていない。
一方、サポートセンター等に配置されるLSAや生活支援相談員等に代表される被災者支援従事者は、もうひとつの支援の核と言える。当センターでは、昨年度、宮城県における被災者支援従事者の研修を受託・実施したほか、岩手県の研修運営に協力を行ってきた。また、このような事情から、福島県の研修にもオブザーバー参加をさせていただいたが、これら3県の研修に携わってきたことにより見えてきた課題として、県により被災者支援従事者に対する研修の考え方、方法論等が全く異なる点であった。これが地域的特性を反映した適当なものであるかどうかという点を含め、それぞれの研修の考え方、その方法論を振り返り、検証することは、今後、支援現場に必要とされている人材を効果的に養成するためには不可欠な作業と言える。
この仮設期から復興期の被災地支援の中核を担うべき部分を検証し、早期に被災地での実践に反映すべく、
@ 被災地におけるサポートセンターの実態の把握と検証(仮設住宅の「集会所・談話室」の「サポートセンター的運用」の実態把握も含む)
A 被災3県における被災者支援従事者に対する研修プログラムの検証・評価
以上の2点に加え、昨年度当センターが実施した本研究事業「震災における要援護者支援のあり方に関する調査研究事業」の中で、今後の被災者支援において重要な位置を占めるものと示唆された、制度で対応できない要援護者を支援する仕組み、
B 制度外福祉仮設住宅(形態としては、グループホーム型仮設住宅)の実態の把握と評価
以上の3点について、研究・考証することを目的として、本事業を実施する。また、本研究成果を踏まえたうえで、被災地以外の地域での一般化についても、類似の実践と比較検討し、提案を試みる
1.研究委員会・部会の設置
本研究全体を総括する委員会と、3つの部会を設置する。
A部会:被災地におけるサポートセンター(サポート拠点)等の運営に関する調査研究部会
B部会:被災3県における被災者支援従事者に対する研修プログラムの評価検討部会
C部会:制度外福祉仮設住宅の実践に関する調査研究部会
2.実態調査の実施
本研究対象の実態把握のため、以下の4つの調査を実施する。
@被災地サポートセンター(サポート拠点)の実態調査
A被災3県での県庁・社会福祉協議会等に対するヒアリング調査
B制度外福祉仮設住宅の実態調査
C制度外福祉仮設住宅へのグループインタビュー
3.報告書の作成
4.報告会の開催
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「震災被災地における要援護者への個別・地域支援の実践的研究」報告書⇒【PDF】
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