地域共生社会の実現に際しては、福祉や介護等に関わる専門職や行政機関と、地域住民との連携が極めて重要である。これまでの取り組みから見えてきたこととして、福祉の専門職の間で、地域づくりに取り組む方法論を持っている人は、社会福祉協議会でのベテランの地域担当者以外には、ほとんどいない、という点である。福祉の専門職は、課題を抱えた要支援者を支援する個別支援は得意な反面、地域づくりと言っても、どこから手を付けて良いかわからないという人が少なくない。これは、地域包括支援センターが委任を受けたり、生活支援体制整備事業の開始とともに新規採用された人が多い生活支援コーディネーターも同様である。
また、生活支援コーディネーターについては、都道府県が研修を担うことになっているため、通常知ることのできる事例も、同職の人間も県内に限定されがちである点、さらに都道府県によっては、年1回の研修のみが生活支援コーディネーターに対する支援の全てというケースも見受けられ、このような場合には、コーディネーターは、行き詰まって孤立するケースが往々にして見受けられる。
地域づくりを担うべく配置された生活支援コーディネーター(又は、同様の地域づくり業務に携わる人たち)に、参考となる実践事例を基にした地域アプローチの方法論と、相談可能な同職との交流、可能であれば都道府県より広域での機会を提供し、制度面からの地域づくりへの接近を円滑なものとすることは、地域共生社会の実現に向けて、重要な課題と考える。 |