少子高齢化・人口減少社会を背景に、わが国の生産年齢人口は減少を続ける一方、後期高齢者は増加し、必然的に福祉・介護における専門職人材のひっ迫は、喫緊の課題となっている。
専門職サービスに対する過度な依存を避け、地域における生活支援・介護予防の維持・充実をはかってゆくためには、地域住民を含めた多様な主体が地域づくりの担い手として地域包括ケアシステムの構築に参画していくことが不可欠であり、その活動をコーディネートする生活支援体制整備事業を地域の中で適切にワークさせていくことが重要となる。
他方、これまで地域を支える互助活動の主体であり、生活支援コーディネーターが主に関わってきた自治会等の地縁組織では高齢化の進展に伴う後継者不足が課題となっている。このことは地域の高齢者人口の減少・高齢者に占める後期高齢者の割合の増加など人口動態に起因するほか、団塊の世代が後期高齢者となっていく中で、地縁組織に依存しない高齢者や地域活動に関心のない・接点のない層が増加しつつあることもその要因と考えられ、これまでのように地縁組織=地域の高齢者として一括りにできない地域が今後増加していくことが見込まれる。
このような状況を踏まえると、多様な価値観をもつ高齢者、さらには若年層も含めた地域住民を地域づくり活動に巻き込み、あるいは相互に活動を活性化させながら、地域全体で高齢者の社会参加を進めていくという視点は2025年以降の生活支援コーディネーターの活動において欠かせないものとなると考えられる。
そこで、本研究においては、地域住民の地域や地域活動等に対する意識を把握するため、モデル的に数地区を抽出し、フィールドとして設定し、フィールド内のさまざまな年代・属性の住民に対して広範なヒアリング調査を実施し、この調査結果なども用いながら、協力いただいた地区住民や研究委員会メンバー等も交え、今後の多様な価値観・世代の住民による地域活動について考えるフォーラムを開催し、今後の地域活動を展開・支援を行っていくにあたっての課題や、生活支援コーディネーターに求められる機能等についての提言をとりまとめる。
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