講座&セミナー レポート ・ アピール
5.関係者へのメッセージ
  社会福祉のニーズは在宅・施設処遇を問わず常に発生し、絶えず流動化するものである。そして、福祉の営み、特に対人サービスには 「完璧」 ということはない。私たち関係者は常に利用者本位の原則の上に立つとともに、処遇をめぐる外的な条件の変化を把握して戦略を構築しなければならない。 「現状維持は退歩の始まり」 とも言われる。このためには 「気づく心」 「学ぶ心」 「実行する勇気」 が求められる。
  栃木の取り組みはまだまだである。今回の全国セミナーを契機に気づき・学び・そして実行するためのエネルギーを得たいと考えている。

 「第7回ユニットケア全国セミナー」が、栃木県において盛大に開催されますことを、心からお喜び申し上げます。千葉県において第4回の大会が開催されてから、早くも3年が経過いたしました。この間、ユニットケアは全国的にも目覚しい普及を続け、「地域をゴールとしたユニットケア」という目的も明らかになってきました。

  そして近年、ユニットケアから、「逆デイサービス」、「地域分散型サテライトケア」等の新しい取り組みが生まれ、地域での実践が始まっています。これらのユニットケアの全国的な普及や考え方の進化は、このセミナーの活動を抜きにしては考えられません。共に学び、語り合ってこられたこのセミナーが回を重ねられ、様々な実践の検証、そして今後のあり方を議論されてきた結果だと考えています。これまでの皆様方の熱意とご努力に深く敬意を表します。

  ユニットケアの出発点は、「利用者の思いをかなえる」ことでした。利用者の思いに真摯に応えていくことにより、新しい発見があり、取り組みが生まれ、未来が創られたのです。ユニットケアが切り開いて来た道の先には、誰もが、住み慣れた地域で、その人らしく生き生きと暮らし続けることができる地域社会が、ゴールとして存在しています。

  千葉県では、ユニットケアセミナーの方々が考えられている理念、歩んでこられた道、目指しているゴールを共有しています。昨年4月に講評した「千葉県地域福祉支援計画」で示された「 (1) 誰もが、(2) ありのままに・その人らしく、(3) 地域で暮らすことができる」という「新たな地域福祉像」の実現に向けて、地域社会に住む一人ひとりが、お互いの立場に違いはあったとしても、共に力を合わせて地域社会づくりを進めていこうとする住民自身による改革(「プロジェクト・ブレーメン」)が始まっています。

  一つの例をご紹介します。千葉県では、現場の福祉の担い手の方の提案で、民間の方々が自ら運営を担う「中核地域生活支援センター」あ、昨年10月から県内14箇所でスタートしています。その目的は、高齢者、障害者、子ども等の対象者の枠を超え、365日・24時間、地域住民の相談、生活支援、権利擁護等の地域総合コーディネートを担うものであり、ユニットケアの先にある地域づくりをゴールとしたものです。

  ユニットケアの先に見えてきた「地域づくり」でも新しい発見があり、未来が拓かれています。これまでの福祉の担い手、新しい福祉の担い手、福祉以外の就労、教育、環境、農林水産等の各分野の方々が福祉を超えた「地域」の視点で融合した「地域づくり」が始まり、「うねり」となりつつあります。

  この「うねり」を確かなものとし、「利用者の思いをかなえ」、「新しい地域社会を創る」ことを目指し、千葉県は、ユニットケアセミナーに参加される方々、地域福祉の担い手、市町村、他の都道府県と共に手を携えて進んでいきたいと願っています。

  終わりに、本セミナーにご出席の皆様方の今後のより一層のご活躍をお祈りいたしましてお祝いのメッセージとさせていただきます。
 
平成17年8月6日
千葉県知事  堂本 暁子


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