(2) 地域にある当事者組織、民間資源の活用
事業のあり方検討の過程で生まれたのが 「民間資源の活用」 である。コミュニティケア実践の課程で地域の社会資源を活用し、各種の事業を当事者組織あるいはボランティアに委ねたことにより、弾力的な運営が図られ 「地域密着型」 活動の実績が検討された。その結果、市町村事業の位置づけを変えず運営主体を民間の任意団体に拡大、1989(平成元)年本事業が新しく制度化され、概ね一日5人程度の正に 「小規模ケア」 がスタートした。
社会福祉事業法は、事業の種類 (第1種・2種) を分類し、経営主体も原則として社会福祉法人に限定していた中で、任意の組織・団体に処遇困難な認知症高齢者の対応は可能か、民間の個人所有の住宅改修費、備品などへの公的助成など多くの問題が生じたが県単独事業として制度化された。
制度化の背景には強力なマンパワーの存在が大きく影響している。ボランティアとして地域で在宅高齢者の給食サービスや見守り活動を展開していた団体・個人が名乗りを上げ、事業のための組織化が図られた。
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